エアレース・パイロット室屋義秀選手とビーチバレーボール部OG橋本涼加さんによるメンタル講座を開講! 硬式野球部レッドクルーザーズの細川拓哉投手・加藤泰靖投手、パラ陸上短距離の石田駆選手がアスリートに必要なメンタル術を学んだ。
2月13日のトヨタイムズスポーツは、トヨタアスリート“メンタル講座”を特集した。
エアレース・パイロット室屋義秀選手と、ビーチバレーボール部OG橋本涼加さんが、さらなる飛躍を期す若手の3選手にメンタルコントロールの極意を伝授! 「本番で実力を出し切る」ために必要な、自己分析や自信の持ち方、プレッシャーとの向き合い方を学ぼう!
室屋義秀と橋本涼加の「メンタル講座」を開講!
スポーツの世界に限らず、大事な時に実力を出せなかったという経験は誰にでもあるはず。どれだけ準備をしていても、本番で最大限のパフォーマンスを発揮するためには、心の持ちようが大切になる。さまざまな分野や職種の人に見ていただきたいのが今回の「メンタル講座」だ。
講師の2人も、選手として精神面の壁に直面し、メンタルトレーニングを重ねて自ら克服してきた。室屋選手は最高時速400km、重力加速度12Gという極限の世界で争うエアレースで、コンマ1秒を勝ち抜くための練習を続けている。
橋本さんは現役時代に早稲田大学大学院でスポーツ心理学を学び、2024年に引退。現在は女性アスリートを中心にトヨタの選手たちのメンタルサポートを行っている。
MCの竹中七海アスリートキャスターも、新体操の日本代表だった頃はメンタルについてたくさん考えたそうだ。「引退後に社業に入っても、こういう放送の本番にどうやっていいパフォーマンスを出すのか、普段の心を整えるのは大事だと感じています」と話した。
「心・技・体」で最も重要な要素は?
生徒役を務めたのは、硬式野球部レッドクルーザーズで投手陣の“柱”を目指す、3年目コンビの細川拓哉投手と加藤泰靖投手。そして、愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会での金メダルを目標にしている、パラ陸上短距離の石田駆選手。温泉が大好きという共通点のある20代半ばの3人だ。
細川投手は「試合と練習のギャップを感じている」、加藤投手は「技術のなさがメンタルにつながっている」、石田選手は「大舞台でプレッシャーに負けてしまう」と、それぞれ課題を抱えている。
そこで、まず「心・技・体」をどれだけ重要視しているかの割合を、フリップに書いてもらった。3選手の「心」の割合は20から50%だったが、講師の室屋選手と橋本さんは「心」が75%と、大きな違いが見られた。
技も体も出来上がったトップアスリート同士の争いでは、「勝敗を分けるのは、ほとんどがメンタル」と室屋選手。橋本さんも「いかに自分の考えを整理できるか、自分のやれることをしっかり把握できているかが大事」と語った。
自分の価値観を言語化すれば、成長に活かせる
ここからは、実践できるメンタルトレーニングの講義。橋本さんが教える「価値観ワーク」は、自分が競技の中で大切にしている価値観から、上位の3つと下位の3つを選ぶものだ。
3選手が選択した上位の価値観は、直感で選んだという細川投手が「挑戦」「創造」「信頼」、熟考した加藤投手が「冒険」「挑戦」「成長」、新婚の石田選手が「家族」「友情」「知識」。選手たちは理由について説明し、それぞれの考え方や競技の特徴が色濃く見られた。
橋本さんは「自分の言葉で選んだ理由を言語化していただくのが、最初の一歩。自分はどういう背景があって、この価値観を選んだのかをあらためて考える機会はなかなかないと思います」と、自分の価値観を活かす2つの方法を提案した。
1つは自己成長に活かすことで、自分の価値観に沿った目標を立てることができる。2つ目は、メンタル面のサポートとして活かすこと。価値観を明確にすることで、迷いや葛藤があった時に、自分は何を大事にしたいのかを振り返るきっかけになるという。
選手たちがあらためて自分自身を振り返り、自己分析を語った「価値観ワーク」は23:37から。
メンタルの弱みをチェックし、改善につなげる
室屋選手が紹介したのは「メンタルスキルチェックシート」。自分のメンタルの強さについて、「意欲」「自信」「感情コントロール能力」「イメージ想起能力」「集中力」「リラクゼーション」の6項目を10段階で評価したチャートだ。
メンタルの各要素を紐解いて、弱いところを改善するためのトレーニングをしようというのが目的のこのシート。3選手に共通するのが、意欲は高いが自信については低評価という点だった。
自信を持つ方法について、室屋選手は「自信が小さいと、パフォーマンスはそれ以上にはならない。だから、自分のセルフイメージという自信を作ってあげるのがすごく大事。セルフイメージを大きくするには、自分で自分にどう声をかけるか。他人はそんなに毎日褒めてくれないので、自分で褒めてあげる。自分がなりたいシーン、ここで勝って観衆が湧いている感じをイメージして持っておいて、俺はなると毎日思っていると、だんだんその気になってくる。そうすると脳が勝手に、自分のロックを外してくれる」と細かく解説。
さらに室屋選手は、心のコントロールが難しい分、体の方を先にコントロールする方法を教授した。「それぞれの競技で、いろんな良いポジション、いい感じがあると思うんですよ。そこを作っておいて、投球の前でも走り出す前でも、ベストな状態に戻す瞬間を作ってあげると、そこに戻ればいつも通りやっていける。トリガーを作っておくのが大事なんです」と説明した。
選手たちも「これからは意識したい」と納得した、室屋選手のメンタル術は33:13から。
内側からのプレッシャーと向き合う方法
メンタル講座を終えて、石田選手は「心のどこかで弱音を吐いていたのかなと、あらためて感じました。今日指導を受けたことを生かしたい」。加藤投手は「今日やれるぞと思って取り組めば、結果も変わってくるかなと思う。“メンタル柱”としてチームに貢献できるよう頑張りたい」。細川投手は「いろいろなことに挑戦していいイメージを持って、自分も“柱”に向けて修行していきたい」と、それぞれの抱負を語った。
室屋選手は、プレッシャーとの向き合い方についても、天気などの外的なプレッシャーと、自分の内側からの緊張などのプレッシャーの2つに分けて解説。「中から来るものはコントロールしてあげなきゃいけない。練習からその状態を予期して練習しておくと、どんなアスリートも成果が大きく出る気がします」と、まだまだ話し足りない様子だった。
橋本さんは「メンタルに対するアプローチは、本当にいろんな方法がある。自分の状況を1つの角度から見るのではなくて、さまざまな視点から見られるのが、メンタルトレーニングで養うことができる力だと思います。そういった心のしなやかさみたいなものを、これからも皆さんと一緒に育んでいけたら」と締めくくった。
奥が深いメンタルの世界だが、簡単なトレーニングは今すぐにでも始められる。何もしないのはもったいない。まずは、自分の心と向き合ってみよう!
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2026年2月20日)はアマチュア相撲の「白鵬杯」を特集する。16回目を迎える今年の大会は、トヨタアリーナに土俵を作って初めての開催。女子の部も新設され、世界中から約1700人が参加した。男子中量級で優勝したアイシンの北野泰聖選手をゲストに迎え、当日の盛り上がりの様子を伝える。ぜひ、お見逃しなく!