2025.05.12

ドライブレコーダーの映像を消防に活用する実証実験が京都市でも始まった。車両がとらえた映像で誰かの命が救えるかもしれない。トヨタで生まれた新事業のその後を追った。

クルマは「移動の自由」を与えてくれる一方で、「交通事故」と切っても切り離せない関係にある。
「人々の役に立ちたい」と願って世に送り出すクルマが、誰かに深い悲しみを与えてしまう現実がある。
このつらく、悲しい事実を何とかしたいと生まれたプロジェクトへの共感の輪が、今、少しずつ広がりを見せている。
2024年12月、京都市で路線バスやタクシーなどのドライブレコーダー映像をけが人の救助や消火活動に活用する実証実験が始まった。
街中を走るドライブレコーダーを“消防の目”とするこの取り組み(ドライブレコーダー119)。手を組んだのは、京都市とトヨタに加え、バス・タクシー会社10社。堺市に次いで全国2例目だ。
開始から間もなく、山林火災を最小限に食い止めたという事例も上がってきているという。
2023年10月から一足先に実証実験を開始してきた堺市は、今年4月、サービスの本格導入に移行した。
協力企業の輪もさらに広がり、対象となるドライブレコーダーの設置台数は実証期間の2倍となる800台に。一分一秒を争う交通事故の現場で、医師による治療を15分早めた実績も上がり始めている。
モビリティ社会の究極の願い「交通事故死傷者ゼロ」。そんな未来が一日でも早く実現する日を目指して、今日も助けを求める声に向き合う挑戦が続いている。