
長蛇の列が消えた!? ある取り組みによって待ち時間が劇的に短縮。話を聞いたらすごかった!
大量のクルマが滞留なくスルスルと
数百台のクルマが待機する巨大駐車場。ここで車両の補充指示に活用されたのが“かんばん” (生産や運搬に必要な情報が書かれたカード)だ。
この店舗では、車種を示す「W2」などが書かれたバインダーをかんばんとして使用。

活用方法もカンタン!
①受付カウンターには、クルマのキーと契約書がセットされたかんばんが並んでいる。これが発車場に用意されているクルマなのだ。

②お客様が来店されると、該当するかんばんからキーと契約書を渡す。

③スタッフの手元には空のかんばんが残り、これが次のクルマを補充する権利となる。

④スタッフは予約リストをみて、次に必要な車両クラスが書かれた補充指示書をかんばんにセット。

⑤そのかんばんを「入庫依頼」の箱に入れると、バックヤードのスタッフがすぐに抜き出し、投入された順番通りに車両を補充する。

⑥どの場所に補充すべきかもビジョン表示でわかりやすく、スムーズに配車。

⑦「入庫完了」の箱に、キーをセットしたかんばんを投入。

⑧投入後、すぐ横の「入庫依頼」の箱から次のかんばんを抜き出し、滞留なく配車が繰り返される。

⑨また「入庫依頼」の箱に溜まったかんばんの枚数から、作業の遅れもひと目で分かり、タイムリーな応受援も可能に。

⑩さらに、需要に応じてかんばんを増減させる事で自律的に配車台数をコントロールできるようにもなった。

アナログなかんばんを採用するだけで、いつ何を搬入すべきかを見える化。運び過ぎを防げるなど業務を整流化できたという。アナログ、恐るべし!
トヨタレンタリース沖縄 那覇空港シーサイド店 仲宗根大介 店長

入庫依頼の箱も、横から縦に向きを変えました。誰でも片手でカンタンに出し入れできるように、バインダーを倒れなくする改善です。ちなみに、これらの箱は手づくりです(笑)。


大量にある駐車場のクルマも、貸出率の高い順に配置するなどで1台あたりの配車時間が7分から4分に。ほぼ半減できました。
まさかの事態に5000円で対抗?
しかし、すべてが順調に進んだわけではなかった。無人受付機RaCCUを大量導入するも、当初は利用率が38%と低かったのだ。
そこで、店舗に着くまでの送迎バス内で、RaCCUのスムーズさを伝える説明動画を放映。さらに那覇空港店ではこんな工夫も。
トヨタレンタリース沖縄 那覇空港店 宮里力斗 店長

お客様が到着後、RaCCUへの動線をわかりやすくするために、床に矢印のステッカーを貼りました。5000円ほどのDIYです(笑)
データを見ると空港店でのRaCCUの利用率は44%に、シーサイド店では87%にアップしました。
時間も費用も抑えられる。そんなアナログな改善で、大きな効果が出たというからおもしろい。
これらの改善活動で、仕事をラクにしながらも、那覇空港近辺での貸出台数は1.2倍に伸びたという。店舗スタッフからは「以前とはまったく違う」「もっといいサービスをお届けしたい」との声も。

クルマづくりで培ってきたトヨタ生産方式は、どんな現場でも応用できる強みがあるのだ。
今後、インバウンド客のさらなる増加も予想されるため、空港店のRaCCUは4ヵ国語に対応。うまくいけば多言語化での全国展開も検討するという。
また、前出の鷹觜次長によると、オンライン予約でシームレスに利用できるカーシェアも強化しているという。混雑が尽きない人気観光地での快適な移動へ。今後の取り組みにもぜひ注目いただきたい。
