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2025.03.11
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取締役会の活性化? 意思決定の迅速化? トヨタが「監査等委員会設置会社」へ移行する理由は?

2025.03.11

トヨタが「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」への移行を決議したと発表した。これにより何が変わるのか? 気になる最近のニュースを解説する。

トヨタは225日、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行することを取締役会で決議した。6月に予定する株主総会で承認を受け、正式に移行する。

そもそも、トヨタが「監査役会設置会社」だったと言われても、いまひとつピンとこない読者もいるかもしれない。

これによって何が変わるのか? トヨタの経営にどんな影響があるのか? 気になるニュースを解説する。

監査等委員会設置会社とは?

「監査役会設置会社」と「監査等委員会設置会社」は何が違うのか?

会社法で定められている3つの統治形態

「監査役会設置会社」は、株主総会で選ばれた取締役が経営を正しく行っているか監査する「監査役会」を設けている会社である。

「監査役会」のメンバーである監査役は、業務監査として、取締役が法律にのっとって職務執行しているか、「適法性」をチェックし、会計監査として、株主総会で報告する決算の事前確認などを行う。

これ対して、「監査等委員会設置会社」は、「監査役会」の代わりに、監査等委員である取締役をそれ以外の取締役と区別して選任して、「監査等委員会 * 」を設置。

*過半数を社外取締役で構成することで、独立性を担保する必要がある。

「適法性」から踏み込んで、「妥当性」(法的な違反がなくても、不適切な意思決定が行われていないか)の監査をする。

なお、「監査役」は取締役会 * の議決権を持たず、あくまで監査する立場だが、「監査等委員」は議決権を持ち、「決める」という役割も持つ。

*経営方針など、株式会社の重要事項について意思決定を行う機関。現在、トヨタでは、10人の取締役と6人の監査役が参加する。

総務・人事本部の東崇徳本部長は、「監査役と取締役では立場が違う。取締役会は基本的に、取締役が議論する場で、そこを監査するのが監査役。こうした役割では、監査役は発言をちゅうちょしてしまい、取締役と同等の積極的な議論参加は難しい」と説明する。

取締役会を構成するメンバー全員が「決める」当事者として参加することで、多様な視点が持ち込まれ、議論がより活発になる。これが、今回の変更に込めた狙いだ。

意思決定のスピードも上げる

トヨタが取締役会の活性化に加えて期待しているのが、意思決定の迅速化である。

監査等委員会設置会社では、取締役会から執行へ、重要な業務執行の決定が任せられるようになる。

例えば、現在、トヨタでは、本部長やカンパニープレジデントの人事も取締役会で決議しているが、移行後は執行で決めていくという議論も行っているという。

このように権限委譲が進むと、取締役会は監督業務により注力できるようにもなる。

なお、今回の移行に伴い、トヨタの取締役会の参加メンバーは16名(取締役10名、監査役6名)から10名(取締役10名、うち監査等委員4名)になる。

10名のうち5名は社外取締役が占めるため、従来 * 以上に経営の透明性や公平性が高まる。

*従来の取締役(10名)の内訳は社内6名、社外4名。

商品と地域を軸にした経営を実践する「社内取締役」と、新たな価値を生み出すため、幅広い視点で助言できる「社外取締役」。

「お客様から共感されるかどうか、トヨタの中だけで判断するのは難しい。グローバル含め、いろいろなバックグラウンドをもった方がモビリティカンパニーへの変革に向けた戦いに参加いただけることが、トヨタの生き残りへの武器になるのではないか」と東本部長は期待を寄せる。

変革は既に始まっていた

こうしたコーポレートガバナンス(企業統治)の見直しは、今に始まったことではない。

「取締役会の活性化」に向けて、2011年に取締役を27名から11名にスリム化。

2013年には、社外取締役を登用し、独立した立場から、豊富な経験と知見に基づく助言を求めてきた。

「商品と地域を軸にした経営」を進めるにあたっては、2011年に「地域主体経営」を導入し、地域本部長を原則現地に配置。

2016年には、「機能軸」から「製品軸」に体制を見直す「カンパニー制」へ移行し、カンパニープレジデントが、クルマの企画から生産まで責任を持つ体制に変更した。

このほか、2019年には「幹部職」制度*を導入。2020年には、役員が退任した場合に就く、「顧問・相談役」を廃止。さらに、翌年、「副社長」「執行役員」などの見直しも行い、「肩書」ではなく「役割」で仕事を進める体制を構築。

*専務役員以上を役員に、常務役員、常務理事、基幹職1級・2級、技範級を幹部職に設定

時代の変化に合わせて、常にトヨタはガバナンスの改善に取り組んできた。

同じクルマを、同じ品質で量産するために「均一性」が求められていた時代から、従来の延長線上にない変化に柔軟に対応できる「多様性」が求められる時代へ。

そんな時代の変化点で、多様な知見や専門性を持つ取締役が、「全員参加」で意思決定できる体制をつくる。モビリティカンパニーへの変革へ、トヨタがフォーメーションを変えている。

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