
「楽しめる、ワクワクするクルマが最近少ないのでは?」。2025年3月期決算説明会の最後の質問。佐藤社長の回答は?

5月8日に行われた、トヨタの2025年3月期決算説明会。記者からの質問は、米国政府による自動車関税や、マルチパスウェイ戦略など多岐にわたった。
だが最後に挙がった質問は、それまでとは毛色の異なる内容だった。
「楽しめる、ワクワクする…。佐藤社長も好きな趣味性のあるクルマが最近少ない気もしているが、そのあたりはどう捉えているか?」
どこか緊張感が漂っていた会場の雰囲気が、ふっと和らぎ、佐藤社長の口調も少し明るくなった。
心が動く商品をどれだけ熱量を持ってつくるか
佐藤社長

ワクワクするようなクルマについてのご質問。本当にありがとうございます。
全くもって同感、というかその通りで、クルマは楽しくなかったらクルマじゃない。ですので、コモディティ*には絶対しないという覚悟は持っています。
*市場に多数の類似商品が出現することにより、企業やブランドごとの独自性と魅力が失われ、差別化が難しくなった商品
左脳的なロジカルシンキングで、カタログスペックが上がれば売れるという時代ではもうありません。
単なるモデルチェンジ、多少燃費が良くなった、デザインが変わった、で売れる時代ではないので、心が動く商品をどれだけ熱量を持ってつくるかが大事。
スポーツカーは、もちろん尖っているべきですが、スポーツカーではないクルマの中にも「ここだ!」という情熱がないと、お客様に想いは届きません。
そういう想いを各プロジェクトチームにも持ってもらえるように、私も発破をかけていますし、そういうトヨタでありたいと思って、今期も取り組んでいきます。
ワクワクするクルマについては、時期が来ればいろいろなお話ができるのではと思います。
決算会見の場でお話するのも差し障りがあると思いますので、また日を改めてお話できればと思います。
入社時からエンジニアとしてキャリアを重ねてきた生粋のクルマ好き。
「決算会見の場でお話するのも差し障りがありますが…」と語りつつ、口元、素振りからは、クルマ愛がこぼれていた。