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2025.06.23
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「仲間の力を最大限発揮できる環境をつくっていく」佐藤社長が語った"役割"

2025.06.23

2023年、豊田章男会長からバトンを受け、トヨタの社長に就任した佐藤恒治 社長。これまでの2年間を振り返り、 "偽らざる想い"を語った。

「ご質問に対する直接的な回答になっていないかもしれませんが、偽らざる私の想いとしてお答えさせていただきました」

終始落ち着いた口調で答えると、議場からは大きな拍手が起こり、佐藤恒治 社長は一瞬右の目じりを拭った。

佐藤社長がトヨタの社長になって気付いたことは? そして、トヨタをより良い会社にしていくうえでの一番のチャレンジは?

2025年の株主総会も終盤、佐藤社長に向けられた質問に答えた一幕だ。

タイのサーキット、爆音の中で豊田章男会長から社長交代の内示を受け、世間への発表は23年、トヨタイムズの生放送。同年の株主総会では、豊田会長が取り戻してきた「トヨタらしさ」を、チームで継承し、進化させていく決意を示した。

それから約2年。改めて語られた“トヨタの社長の役割”とは。

豊田会長のアドバイス

佐藤社長

トヨタ自動車の社長のお役目を拝命して約2年になります。

今もまだ、バトンタッチゾーンの中で、必死に前社長である豊田章男が積み上げてきた「トヨタらしい経営」とはなにかを考えながら、日々もがいているのが実情です。

いろいろなことに取り組む中で、最も大切にすべきだと思うことは「ブレない軸を守り続ける」ことだと思います。

すなわち、今日のこれまでのご質問にもありましたように、商品と地域の両軸でしっかりと経営をしていくということです。

先ほど、両副社長から地域軸、商品軸ということでお話を申し上げましたので、私からは、少し自分自身が気づいたことについてお話ししたいと思います。

いろいろなトライをしていく中で、私の心に一番ぐっと入ってきたのは、やはり認証問題でした。

新しいことをどんどんやらなければいけないという責任感のもと、いろいろな対外的な発信や行動をとろうとし続けていたときに起きたのが認証問題でした。

そのときに会長の豊田が、たった一言、私にアドバイスをくれました。「佐藤、こういうときこそ社長は現場に行け」という一言でした。その一言で、本当に自分の時間の使い方を変えました。

現場を回り、「皆が何に苦しんでいるのか」「どんな想いでいるのか」を、日々感じとることを毎日毎日続けてきました。

自分は現場が分かっているつもりでいましたが、全くそんなことはなく、現場は本当に皆頑張っている、けれども、その頑張りがなかなか結果につながらない、苦しいけど皆頑張っている、声が出せずにいるんだ、ということがわかってきました。

大きい会社ですから、多くの人が関わって仕事をしています。社長1人でやれることには限りがあります。

現場を回る中で一番大事なことだと気付いたのは、現場のエネルギーを最大化できるよう、現場がやりたいことをやれるようにしてあげるのが、トヨタの社長の仕事だと思いました。

社長が頑張って肩を回しているような会社では、1馬力でしか仕事が進みません。トヨタには、グローバル38万人の仲間がいる。この仲間の力を最大限発揮できる環境をつくっていくのが、私の役割だろうと思っています。

豊田会長が14年かけて築いてきた基盤。この基盤があるからこそ、できる挑戦があります。

その挑戦を皆に思う存分やってもらえるよう、私自身これからも現場を回り、そして今日ここに登壇しているトヨタの経営をリードしている仲間を信じ、チームで経営をすることを心がけ、これからも努力を続けてまいりたいと思います。

ご質問に対する直接的な回答になっていないかもしれませんが、偽らざる私の想いとしてお答えさせていただきました。

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