2025.06.02

液体水素カローラが今年も富士に帰ってきた。「完走」はもちろん「他クラスのクルマと戦う」という目標を立て臨む決勝。戦いの道のりを追った。

「去年悔しい想いをしていますので、しっかりと走りきる」「そのうえで他のクラスのクルマと同じ周回数でレースができる。24時間でもそれができるように」
2025年5月30日。スーパー耐久第3戦富士24時間レースの予選を直前に控え、液体水素システム開発を担当する山本亮介は意気込んだ。
決勝の結果は468周(約2,135キロ)を記録。雷雨や霧の影響で長く中断され、走行時間が短くなったにも関わらず、昨年の332周(約1,515キロ)からおよそ1.4倍も記録を伸ばした。
液体水素カローラの大きな“前進”を証明した24時間。たどり着くまでには、もがき続けた1年があった。
オルタネーター(発電機)の不具合やエンジントラブル。これまで不安定だった液体水素システムが形になってきた一方で、レーシングカーとしてのトラブルが出てくるように。
また、周回数に影響を与える「水素充填」の改善にもトライ。低温で時間をかけて充填することでより多くの液体水素をためることができる、通称「ゆっくり充填」を編み出した。
一つひとつの課題と向き合い、ワンチームで走り続けた様子は、ぜひ番組でご覧いただきたい。
決勝後、笑顔と涙に包まれるピットで、モリゾウは次のように語った。
「長かったもんね。やっとレースに参加できた年になったんじゃないですかね」「また前進できたんじゃないでしょうか」
もっといいクルマづくりに終わりはない。この富士24時間の舞台で、来年はどんな姿を見せてくれるのだろうか。