
ロケットや人工衛星の開発、打ち上げなどを手掛けるインターステラテクノロジズ。トヨタ、ウーブン・バイ・トヨタとも提携した同社の「宇宙のインフラをつくる」現場を取材した。

皆さんは「宇宙」がどこからか知っているだろうか?
組織によって定義はさまざまあるが、一般的には大気がほとんどなくなる高度100キロ以上といわれている。ここはトヨタイムズなので、あえて愛知県豊田市のトヨタ本社を起点にすると、だいたい静岡県御前崎市あたり。クルマだと2時間ほどでたどり着ける。意外と近いと感じるだろうか。
今でこそ宇宙旅行もできるようになってきたが、陸海空の移動に比べれば、これはずっと最近の話。宇宙はまだまだ近くて遠い世界だ。そこにモノを運ぶサービスを提供しようと挑む企業がある。
インターステラテクノロジズ(IST)は「世界で選ばれる宇宙のインフラをつくる」というミッションを掲げている。ウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)は2025年1月、ISTと資本業務提携を締結。さらに本稿が公開された8月4日、トヨタとWbyTは、ISTがウーブン・シティで実証実験に取り組むインベンターズ(発明家)に加わることを発表した。「宇宙」や「ロケット」の知見と、ほかのインベンターの見識が掛け合わさって、新たな価値が生まれることに期待がかかる。
トヨタイムズニュースは今回、ISTを取材すべく北海道大樹町へ。「航空宇宙産業基地」の候補地とされて以来、「宇宙のまちづくり」に取り組む同町にISTの本社はある。
宇宙のインフラをつくるためには、何と言ってもモノを運ぶ“モビリティ”が必要だ。トヨタグループからの出向者も在籍するロケット開発では、推進剤タンクなどが壊れるまで試験を繰り返し、一つひとつの要素技術の限界を見極めている。
「壊してくれてありがとう」とは、GRのクルマ開発の現場で聞かれる言葉だが、ロケットも同じなのかもしれない。
現在はロケットの発射場の建設も進んでいる(完成予定は2026年秋以降)。ISTでは完成次第、宇宙に小型人工衛星を届けるロケットの打ち上げを目指す。
「やらないといけないことは、いっぱい」その言葉とは裏腹に、表情には充実感を漂わせていた。