
「記憶に残る景色の中には、クルマがあってほしい」。佐藤恒治社長が新入社員へ伝えた想いとは。
皆さんの支えになるものは…
佐藤社長

今日から皆さんは、トヨタの一員です。信念をもって、一つひとつの仕事に取り組んでほしいと思います。
今、世の中にないものを、自分たちの手でつくる。「できない」と思われていることを、技術やモノづくりの力で「できる」ようにする。
クルマづくりはとてもやりがいのある仕事です。でも大変なことも、苦しいことも、たくさんあるんです。
「楽しい」と思えるようになるためには、たゆまぬ努力が必要です。
豊田佐吉さんが大切にされていた「百折不撓」という言葉があります。
「99の失敗の先に、一つの成功がある」「信念をもって挑戦し続けなさい」。
私自身の支えにもなってきた言葉です。
一生懸命勉強して、挑戦して、失敗したらもっと努力して、また挑戦する。クルマづくりはその繰り返しです。苦労した末に何かを生み出せたとき。そして、それが誰かの役に立って「ありがとう」と言ってもらえるとき。そこには、かえがたい喜びがあります。
その第一歩は、自分の担当する仕事一つひとつに一生懸命取り組んでいくことだと思います。
私が新人時代に、初めて設計を担当したのは、カローラの「チルトレバー」というステアリングの小さな部品でした。
そのクルマが発売されたあと、販売店に行って「自分が設計した部品が本当にクルマについている!」と、何度も見て、触って、感じた、あのときのうれしい気持ちは今でも忘れていません。
トヨタには「誰かを笑顔にできる」、やりがいのある仕事がたくさんあります。「失敗を恐れずに、挑戦しよう」。そう言ってもらえる職場がたくさんあります。まずは、仕事の基本をしっかり覚えて、一生懸命勉強して、技能や専門性を磨いたり、世界を見て感性を磨いたりして、自分らしくみんなで成長していきましょう。
これから先、仕事を始めると、壁にぶつかって悩むこともあると思います。そんなときに、きっと皆さんの支えとなるもの。それは「クルマ愛」だと思います。
好きなことであれば、誰かの笑顔のためであれば、たとえ苦しいことがあっても頑張れます。夢中になって、時間が過ぎていきます。
クルマを通じてお客様を笑顔にする。お客様に「愛車」と呼んでいただけるクルマをつくるには、まず自分たちが愛をもってクルマと接することが大切だと思います。
いろいろなクルマ好きがいていいと思います。皆さん一人ひとり、クルマに向き合って、クルマのもつ多様な価値や楽しさをぜひ見つけてください。
本日を迎えるにあたり皆さんがトヨタで実現したいことが何か、事前にたくさん伺っています。その中にこんなものがありました。
「楽しいクルマをつくりたい」「クルマをもっと世の中の役に立つものにしたい」「誰もが自由に移動できるモビリティ社会をつくりたい」
全部、皆さんの今の心の中にある想いです。皆さんそれぞれに、熱い想いをもってトヨタに入ってきてくれたと感じました。
もっといいクルマをつくって、クルマの未来を変えていく。その原動力は、そんな皆さん一人ひとりの「熱量」だと思っています。
今の気持ちを大切にして、熱い想いを語り合える仲間をたくさん見つけていきましょう。必ず皆さんの支えになると思います。
そして、みんなで心に火をつけ合って、現場で汗をかいて、情熱をもってクルマづくりに取り組んでいきましょう。
改めまして、ようこそトヨタへ。これから一緒に、クルマの未来を変えていきましょう!
佐藤社長の想いをまっすぐなまなざしで受け止める新入社員。近くで見守る東崇徳 総務・人事本部長は「これからトヨタを好きになって『頑張ろう』と思ってもらえるか、がっかりされるか、我々も試されていると思います。点ではなく面でサポートを頑張っていきます」と覚悟をにじませた。