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2025.06.19
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認証問題、長納期...現場の風土改革へ中嶋、宮崎両副社長が示した決意

2025.06.19

認証問題や長納期など、トヨタのみならず自動車業界の課題に不安を抱く株主は少なくない。風土改革は? 販売店との連携は? 中嶋裕樹、宮崎洋一両副社長が答えた。

2025年の株主総会では、認証問題や長納期などを懸念する株主から、トヨタの考え方を問う声があった。

株主総会の2週間ほど前、トヨタは5月30日、国土交通省へ型式指定申請に関する再発防止の進捗報告を行った。(四半期ごとの3回目)

報告では「基盤の強化」「ものづくり」「人づくり」を3本柱とし、経営層と現場の従業員との対話や、人的・物的リソースの充当といった取り組みを継続的に進めているとある。

認証問題に対応していく中で、現場の風土改革は進んでいるのか? 株主の質問に中嶋裕樹副社長が答えた。

異常に気付くセンサーは現場で養う

中嶋副社長

さまざまな目に見える形での施策は打ってきましたが、我々が最も大事だと思っているのが風土改革です。

これに関しては、会長の豊田(章男)がリーダーとなって、現場へ実際に行って、その工程一つひとつを見ながら問題をつまびらかにする。

トヨタではTPS(トヨタ生産方式)自主研をやっています。これはトヨタ自動車だけではなく、関係各社も一堂に会して、今やっている状況です。

毎月やっていますが、先般もその会場に行ったときに、各社のユニフォームが入り乱れて、問題点や困りごとについて、皆で知恵を出し合って解決しようと取り組みがされていることを目の当たりにして、正直、非常に感激しました。

ただ、我々がいかに現場に足を運んでいなかったかという実態もわかってきたというのが正直なところです。

私は現場に行って「問題がないか?」と聞けばいいと思っていました。ただ本当に現場の最前線に副社長が行って、こんな大きな体の僕が「何でも言っていいよ」と言ってもなかなか言えるものではないと思います。

そうではなくて、日頃から行っていると、現場の異常に気付くことができる。例えば「この工具の置き方がいつもと違うな」、「あれ、ここはいつも綺麗に4S(整理・整頓・清掃・清潔)されているのに、それがされていないな」そういう日常の変化をしっかりと見極めて、異常値を僕たちがセンサーをもって感じることができる。

そういうことにならない限り、現場の声を拾うといっても綺麗ごとに終わってしまうと正直思っています。

今、佐藤社長やここに並んでいる各メンバーも、とにかく日常から現場に行って、本当に問題がないか、問題がもしかしたら生まれるんじゃないかということを、一つひとつ、通うことによって、結果として現場とのコミュニケーションも改善しながら進めてまいりたいと思っています。正直まだまだ道半ばです。この風土改革に終わりはないと認識しております。

認証問題をめぐっては、トヨタは2024年6月、国が定めた基準とは異なる方法で試験を実施していたと発表。2週間後の株主総会でも佐藤恒治社長が、改めて経緯を説明した。7月31日には国交省から是正命令が出され、トヨタは8月9日に再発防止策を提出している。

中嶋副社長が語るTPS自主研については、トヨタイムズニュース「【認証問題】トヨタグループで何が起き、今、何をしているのか?」でも詳細な取り組みを紹介した。この中で豊田会長は、認証業務の現場の従業員にこのような言葉をかけている。

豊田会長

(認証業務の改善は)全員が参加することによって、この“もやもや感”を全員で解決できると思うので、ちょっと興味を持ってください。

知ろうとすることが大事だと思います。知ろうとして、興味を持つことでみんなの活動にしていくことが一番大切だと思います。

風土改革は労使でも話し合われてきた根深い課題。現場も経営層もワンチームとなって改善が進められている。

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