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2025.06.19
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認証問題、長納期...現場の風土改革へ中嶋、宮崎両副社長が示した決意

2025.06.19

認証問題や長納期など、トヨタのみならず自動車業界の課題に不安を抱く株主は少なくない。風土改革は? 販売店との連携は? 中嶋裕樹、宮崎洋一両副社長が答えた。

J-SLIM

認証問題では、基準に適合するまで生産が一時停止した車種もあり、株主からは販売店との連携が図られていたのか疑問視する声もあった。

こうした長納期改善の取り組みについては、宮崎洋一 副社長が答えた。

宮崎副社長

まさに国内のお客様、そしてグローバルのお客様の声を代弁いただいたと受け止めております。

コロナ禍が明けて以降、半導体不足の中で受注が先行し、お客様にお待たせする期間が続いていました。一日も早くお届けしたいという想いで少し現場に無理をかけてしまったことが、認証問題の発端にもつながっていると思います。

現場は、お客様が待っているなら頑張りたいと思い、多少無理をしてしまった。そのため、いろいろな面で品質・安全が少しおろそかになり、稼働が止まるという事象が起きてしまっています。

宮崎副社長はまた、この質問に答える前、別の株主からクルマづくりの考え方を問われ、次のように答えている。

「我々のクルマづくりの基本は、安全・品質・量・収益という順番で考えています。我々が目指すところは、お客様の幸せの量産です。そのための原動力は、やはり人です。人をしっかりと育てていくことで、先ほど申し上げた安全・品質をしっかりと確保していきたいと思っています」

2025年3月期 第2四半期の決算発表の場で、人への投資の積み増しについて「迷いはありませんでした」と答えた宮崎副社長。この日の株主総会でも、安全と品質の確保のために人材育成と働く環境整備を進めていく決意を語っている。

長納期に対する回答に戻りたい。宮崎副社長は、メーカーと販売店が連携できるよう構築したJ-SLIM(Japan Sales Logistics Integrated Management)について説明した。

宮崎副社長

ご指摘いただきました通り、販売店のオペレーションも人手不足で、しっかりとしたオペレーションが回っていません。また、我々から販売店におつなぎする情報も、人手を介することで、タイムラグが出たり間違ったりすることがあります。

そこで、新たに国内では、J-SLIMという、メーカーと販売店が同じ情報を管理できるシステムを導入しました。具体的には、お客様が販売店で注文をいただいた瞬間からメーカーの方に情報が飛んできます。

メーカーは販売店に対して、「このクルマであれば納期はこれぐらいになる」という情報をその場で返し、お客様との商談につなげていただく。そのような改善をしてきています。

(J-SLIMは)まだ道半ばです。完璧なものには程遠いと思っていますが、お客様からのご指摘、叱咤激励を改善のバネにして、これからもお客様の満足につながるような取り組みを進めてまいりたいと思っております。

そのためにも、忌憚のないお客様の声が我々の改善の原動力になってまいりますので、これからもどうかご指摘をいただきまして、我々の背中を押していただくことをお願いを申し上げます。

販売店との連携だけでなく、生産現場では自動化やDXも駆使して長納期の改善に取り組んでいる。

中嶋・宮崎両副社長は今回、ともに「道半ば」という言葉を使った。理想とする状態には届いていないのかもしれない。だが、裏を返せば、半分とは言わずとも、“幸せの量産”を目指して、取り組みが着実に一歩ずつ進んでいるということでもある。

それぞれの現場で挑戦と改善が続いている。

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