
ウーブン・シティが9月25日、ついに実証を開始! この3日前、一足先にこの地を訪れた人たちがいた。まったく新しいのに懐かしい場所。再会の喜びを分かち合った。

9月25日、ついにウーブン・シティがオフィシャルローンチを迎えた。2020年1月に世界最大規模のテクノロジー見本市「CES」で、豊田章男社長(当時)が構想を発表して5年、ついに現実のものとなった。

ここから、トヨタやウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)などの関係者とその家族が入居を始める。
その後、対象を社外のインベンター(発明家)などにも拡大。フェーズ1と呼ばれる最初の実証エリアでは、300人の入居を予定している。
帰ってきた125名
オフィシャルローンチに先立つ22日、一足先にウーブン・シティを訪れた人たちがいた。トヨタ自動車東日本 東富士工場で働いていた従業員125名。
WbyTが主催するシティツアーと対話イベントに参加するためだ。

これまで度々紹介してきたように、ウーブン・シティができるのは、東富士工場の跡地。
1967年から半世紀以上にわたりクルマを送り出してきた同工場。閉鎖がアナウンスされた2018年7月、豊田社長(当時)が訪れ、「実証都市」とする構想を従業員に打ち明けた。
ウーブン・シティのルーツには、東富士工場の歴史と故郷を離れざるを得なかった従業員の想いがある。
「それをどのように未来につないでいくか」はプロジェクトに携わるメンバー全員が共有する問いとなっており、まちの至るところに東富士工場の面影を残している。


今回のイベントも、誰かに指示されたわけでもなく、WbyTのメンバーが自ら発案。「一番に故郷に迎え入れてあげたい」と企画した。
ウーブン・シティに「おかえりなさい」
この日のメインは、シティツアー後に行われた対話イベント「あの日のつづき」。

WbyTのメンバーがどんな想いでまちづくりに取り組んできたかをまとめた映像の後で、豊田大輔シニア・バイス・プレジデント(SVP)があいさつ。
真っ先に伝えたのは「おかえりなさい」だった。
豊田SVP(抜粋)

トヨタ自動車東日本の皆様にお伝えしたい言葉がありました。「おかえりなさい」。
そう言われても、ずいぶん変わってしまって、そんな感じはしないと思われるかもしれません。
ですが、我々、勝手ながら、想いを受け継がせていただいているつもりです。
ウーブン・シティは、「過去」「現在」を受け継いで、「未来」につなげていくプロジェクトです。正解がわからない中で、みんなで模索していきたいと思っています。

今、(トヨタが)モビリティカンパニーに変わっていく中で、「次の道を発明しよう」と掲げています。でも、「何をすればいいんだろう」と、正直、わからないこともたくさんあります。
そういうときに、「こういうものがあったらいいな」を具現化しやすかったり、すぐ試せる場所、そして、困ったときに立ち止まったり、立ち戻れる場所が必要だと思います。
トヨタグループには、もっといいクルマづくりで培ってきたノウハウや、有形・無形資産がたくさんありますが、それをクルマづくり以外にも活かしていきます。
まずやってみて、ウィーバーズである住民の方々に、いろいろなことを評価、コメントしていただき、もっといい商品、サービス、価値づくりを行います。
お客様の笑顔のために、幸せの量産のために、もがき、模索していく。だからこそ、すべての始まりであるこの場所がとても大事だと思っております。
かつて、53年間、一人ひとりが想いを込めて、丁寧に1台ずつクルマをつくっていただいた。そして、お客様の声を聞いて、さらによくしていただいた。ここはそういう改善、もっといいクルマづくりが行われた場所でした。
そのモノづくりの魂が、この場所には込められていると思っております。

先人たちがしてきたことと、形、姿は違うけれども、同じ想いを背負って実施させていただき、今の我々世代の想いを込めて、未来の世代に、その魂を託していきたいと思っております。
本日、125名の皆様にお越しいただきました。いつでも帰ってきていただきたいと思いますし、ここにも戻る場所があるんだと感じていただければと思います。