
ウーブン・シティ、オフィシャルローンチ。「幸せの量産」を掲げ、準備を進めてきたテストコースの街が、ついに動き始めた。

「ウーブン・シティ、ローンチです!」
“マスター・ウィーバー”豊田章男 会長の声が響き渡った。
東富士工場の閉鎖時に明かした「実証都市」構想から8年。同工場の歴史と想いを受け継ぎ、自動車業界の枠を越えた多くの仲間たちとともに、テストコースの街がスタートを切る。
※本記事は、同日に公開したトヨタイムズ記事「ウーブン・シティに“帰省” 東富士工場125人に『おかえりなさい』」と合わせてご覧いただきたい。
実証開始となった9月25日、集まった報道陣は約90人。オフィシャルローンチイベントでは、加えて実証実験を始めるインベンターズ(発明家)、ここで実生活を送るウィーバーズ(住民・訪問者)らの姿も。
大勢が見守る中、プロジェクトをリードしてきた、ウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)の豊田大輔シニア・バイス・プレジデント(SVP)がステージへ。ここまで尽力してくれた仲間への感謝と、この街での挑戦に対して決意を表明した。
Start the Momentum
豊田SVP

まだ誰も成し遂げたことのないウーブン・シティという挑戦に「この指とまれ」で集まってくださった皆さんに、まずは心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
「順調に進んできたプロジェクトだった」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
実を言うと、決して順風満帆ではありませんでした。
このウーブン・シティの構想が始まったのは、トヨタ自動車東日本の従業員集会でした。
その場で当時の豊田社長が、会社の承認も何もない段階で、個人の想いとして「未来をつくる実験都市をやろう」と語ったことが、きっかけでした。
あの一言がなければ、こんなにも、いろいろな意味でドキドキするプロジェクトは生まれていなかったと思います。
正解のわからない中、模索を続け、一歩一歩進んできて、今日という日を迎えることができました。
数え切れないほどの壁がありました。
私自身も「本当にできるのだろうか?」と不安に思ったことも何度もあります。
そのたびに支えてくださったのは「For others―自分以外の誰かのために」、そして「Weaving the Future―未来を紡ぐ」という想いに共感し、最初の一歩を踏み出してくれた仲間たちでした。
ここに集まるウィーバーズ(住民・訪問者)、インベンターズ(発明家)、そして私たちと共に未来をつくる仲間の勇気が積み重なって、今日この瞬間があります。
ウーブン・バイ・トヨタのバリューに“Start the Momentum”、「一歩踏み出す」があります。
ゴールが見えていなくても、答えがわからなくても、「まずはやってみよう」と声を上げ、一緒に走り出してくれた皆さん。
その一歩一歩に、心から感謝しています。
みんなの「カケザン」
豊田SVP
そしてこれからのウーブン・シティに必要なのは、みんなの「Kakezan」です。
異なる分野、異なる文化が重なることで、新しいアイデアや価値が生まれます。その価値がまた次の価値を呼び、スパイラルのように広がっていく。私たちはそれを“Kakezan”と呼んでいます。
この街が、そんなKakezanを次々と生み出す場所になることを願っています。そして私たち自身がそのMomentum―原動力になっていきたいと思います。

ウーブン・シティは、過去から現在へ、そして未来へと受け継いでいく場所です。世代を超えて、人と人、想いと想いがつながりながら進化し続ける街。
そして、今日はゴールではなく、新たなスタートに過ぎません。
「自分以外の誰かのために」、「未来を紡ぐ」仲間として、これからも一緒に、この街から“Kakezan”を起こしていきましょう。
あらためて最初の一歩を踏み出してくれた皆さん、そしてこれまで支えてくださったすべての方に感謝したいと思います。
本当にありがとうございます!
最後に、この街で大切な言葉をもうひとつ。
健康第一!
皆さんも我々も健康あってのウーブン・シティです。
健康な体がないと、笑顔になれません。笑顔がないと笑顔の未来は紡げません。
健康第一で楽しく新しい未来を紡ぎましょう。
ありがとうございました!
ウーブン・シティには、1890年に誕生した「豊田式木製人力織機」の復元品がある。
これは、トヨタグループの礎を築いた豊田佐吉が、夜なべして機を織る母の仕事を楽にするために発明したもの。

「数え切れないほどの壁」にぶつかりながらも、豊田SVPを支え、奮い立たせたのは、WbyT、ひいてはトヨタの源流にある「自分以外の誰かのために」という想い。
そんな想いに共感し、ウーブン・シティで未来を紡ぎだそうとするインベンターズは、この日新たにシンガーソングライターのナオト・インティライミさんが加わり20となった*。
*ナオト・インティライミさんのほかに、ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングス、インターステラテクノロジズ、共立製薬とトヨタグループ12社。
また、アクセラレータープログラム「Toyota Woven City Challenge―Hack the Mobility―」も始まっており、10月14日までインベンターズを募集中。WbyTでは、この街を使い尽くす発明家を求めている。