今年の1月に東京オートサロンで「モリゾウの10大ニュース」の1位として発表されたミッドシップ「TGRR GR Yaris M Concept」が、ついにS耐岡山で走り出した。
ミッドシップでクルマづくりの意識改革
ミッドシップで培われた技術は将来的にデザインの考え方を見直し、クルマづくりを変える可能性があると高橋プレジデントは説明する。
高橋プレジデント
このミッドシップ四駆の技術が蓄積されたからといって、トヨタのクルマ全部に使えるかというと、そのようなことはないです。考えているのは、風をどう入れるかという空力の部分です。
クルマをつくるときに、かっこいいクルマではなく空力を意識したデザインをつくり込む。それがクルマのデザインの意識変革にはなるのではないかなと思っています。
デザイン性が増すとかではなく、空力を意識したデザインをつくる。今までは見た目のかっこいいクルマをまずつくって、それからクオリティ、Cd値(空気抵抗係数)をどう減らすかというつくり方をしてきました。
クルマをつくる意識を変えて最初から空気の流れを意識した塊をつくり、そこから細部のデザインをするというやり方に変えていけるのではないかなと考えています。
活動のゴールは市販化
「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」のひとつとして、行われているこのクルマも最終的なゴールは市販化だという。しかし、まだまだ課題も多く、発売時期など白紙の状態で、今回はヨチヨチ歩きを始めたばかりの状態。
とはいえ、完走を目標に3時間のレースを無事走り切った「TGRR GR Yaris M Concept」。高橋プレジデントはレース後に「ほっとしました。水素エンジンカローラを初めて走らせたときと似た気持ちです」と胸の内を打ち明けてくれた。
次戦は富士スピードウェイで行われる2025年シーズンの最終戦、「S耐FINAL 大感謝祭」。この最終戦では、水素エンジンカローラを走らせる計画であるという。
大きなアイテムも試行しているが、それが出せるかは今のところ五分五分であると高橋プレジデントは説明した。
GRモータースポーツ事業部 江口直登主査は最終戦での盛り上げについて、このように話した。
江口主査
S耐の最終戦に向けてレースだけじゃなく、イベント広場も含めて盛り上げの施策を考えていきたいなと思っています。 そのなかで、私たちメーカーがST-Qクラスに参戦して、今年で5年目になります。
トヨタだけじゃなく共挑5社(トヨタ、マツダ、スバル、ニッサン、ホンダ)で一緒に何かやりたいという話をしていて、そういった企画も予定していますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
2025年シリーズの最終戦、「第7戦 S耐FINAL大感謝祭」は11月15日、16日の2日間、富士モータースポーツフォレストで行われる。