
基本合意を結んでいた、三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の経営統合について10日、親会社のダイムラートラック、トヨタ自動車も含めた4社による最終合意が結ばれた。商用車の未来をつくる道は新たなステージへ向かう。
水素社会の実現に向けても連携加速
佐藤社長はさらに、今回の協業によるダイムラートラックとの水素領域での連携についても言及した。
佐藤社長
今回の協業を通じて、ダイムラートラックとトヨタの間での連携も深まっています。
その象徴が、水素領域での取り組みです。
両社の技術力を融合して、水素モビリティの社会実装と普及をいかに加速できるか。踏み込んだ連携のあり方も含めて、さまざまな可能性を追求しています。
引き続き、具体化に向けた取り組みを進めてまいります。
私たちは、「未来はみんなでつくるもの」だと思っています。
本日の最終合意は、ゴールではなく、スタートです。

より良いパートナーシップにしていけるよう、文化や考え方の違いもリスペクトしながら、相互理解を深める努力を続けてまいりたいと思います。
引き続き、持続可能なモビリティ社会を目指して、「商用車の未来をともにつくる」ために、4社で、力を合わせて取り組んでまいります。
皆様のご理解とご支援をいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
合意に至った要因は…
会見に臨んだ記者からは、「電動化や自動運転の研究開発をどうしていくのか」、「水素社会の実現に向けて期待することは?」といった質問が寄せられた。
各社の魅力を問われた場面では、ダイムラートラックのカリンCEOとトヨタの佐藤社長がお互いにリスペクトを示す一幕があった。
それぞれダウムCEO、豊田会長から経営のバトンを受け取った2人。カリンCEOはこの2年の歩みを「お互いに尊敬しながらコラボレーションを進めることができました」と振り返る。
交渉は時に厳しい場面もあったが、常に最善の解決策を探り、協業が最終合意に至ったこの日を「とても重要な歴史的な日」と表現した。
対して佐藤社長は、「(ダイムラートラックは)日本の商用車事業に対するリスペクトを持って我々と接してくれています」と説明した後、「一番ここで申し上げたいのは…」と続けた。
佐藤社長

一番ここで申し上げたいのは、ちょっと表現に悩むんですが、前任のCEOのダウムさんも、一言で言うと、生粋のトラック“野郎”って言っちゃいけないですね。トラックガイ。
トラック大好きで、ご自分でも運転して、本当にトラック愛にあふれる方。
その後任のカリンさんも本当にトラック愛にあふれる方です。
うち(トヨタ)もご存知のように、会長がマスタードライバーをしながらリードしている会社であり、私自身もクルマが大好き。我々のみならず、多くの人間がクルマが大好きという日々を送っています。
ですので、そういう部分のシンパシーというのは、もうビビビッとくるような感覚がありました。
そういうところがどんな困難にも打ち勝って、今日の日を迎えている一番大きな要素かと思います。

日本の商用車の未来をつくるため、困難を乗り越え固く手を結んだ各社。新たな一歩を踏み出した。