
最新の設備を備え、大きな期待を背負って操業を始めた上郷工場。10年後もエンジンをつくり続けていくために、今取り組もうとしていることとは。
エンジンはなくならない
2024年は、オートサロンでのモリゾウの言葉があり、5月には佐藤恒治社長がSUBARU、マツダとともにマルチパスウェイワークショップを開催。3社の特徴を生かした、開発中の新エンジンが紹介された。そして今年のオートサロンでは、GRヤリスのミッドシップコンセプトに搭載する2.0Lエンジンがお披露目となった。
電動化時代と言われる中にあっても、トヨタはエンジンをつくり続けてきた。斉藤工場長は、改善を止めなかったことが、現在の上郷工場の自働化やデジタル化、多様化の土台となっていると感じている。
斉藤工場長

一時期は我々も「もうエンジンはなくなる」となったときもありました。
「BEV(バッテリーEV)に切り替わっても、(BEV生産にも)資金がいる」
「しっかり今のうちに稼がないといけない」
「新規事業のための原資をつくるのが工場だ」
みんながそういう気持ちでした。「だから改善もやらなければならない」ということで今までやってきたんです。それがよかったと思っています。(BEVが)増えてきても何とかなっています。
あのまま、「もうエンジンなんて何もやらなくていい」、「これで終わりだ。改善もしなくていい、金をかけるな」となっていたら、今はなかったと思います。
将来を考えたとき、自働化をしていかなければなりません。こうありたいという姿があるので、それに向けてやっていこうと思っています。
少子高齢化や、製造業離れによる人手不足を解消していくためには、働きやすい環境だけではなく、ラインを変えていかなければいけません。そのためには「DXもしっかり活用していかないと」というような話もみんなでするようになりました。
デジタルを活用することで設備をどう変えていったらいいか、少しずつ見えてきました。
入社後、上郷工場に配属となり鍛えられてきた斉藤工場長。紹介してきたような進化への取り組みは、「恩返しでもあります」と話し、「10年後も15年後も、しっかり稼げる工場であってほしい」と続けた。
最後に「エンジンは、なくなりませんか?」と聞いてみた。
「エンジンはなくならないです。つくり続けたいですね。もっと燃費のいい、カーボンニュートラルにも応えられるようなエンジンを。まだまだ開発の要素はあると思っています」
