
オフィシャルローンチを今秋に控えるウーブン・シティ。準備が進むのはインフラだけではない。今回は住民の募集や受入に取り組むチームに話を聞いた。
ウィーバーズの相棒に
ここまで住民候補に向けた説明会や体験会がどのようにつくられてきたのか見てきたが、今秋入居が決まったウィーバーズが、初日をスムーズに迎えられるように備えるチームもある。
このチームは2月以降、何度もウーブン・シティでリハーサルを実施。ウィーバーズを居室まで連れていくルート、駐車場への案内、引っ越し業者の動線など確認すべきことは多岐にわたる。
企画段階では上手くいっていたはずのことも、現場に出てみるとスムーズにいかない。表情が硬く、ウィーバーズがワクワクしないのではと指摘されたこともあった。
5月からはWbyTの従業員とその家族が、実際に1週間程度生活する「実生活テスト」もスタート。これまで100人弱が参加し、住民と運営両方の視点で改善点を洗い出している。

受入準備を進めるチームの一員である岩田庄平さんは、こうした現地でのテストを繰り返す中で、相手の困りごとに対して機械的に対応するのではなく、「YOUの視点」で当たることの大切さを感じている。
岩田さん

(相手が求めている)根本的な部分を考えると「そうそう。本当はこうしてほしかったんだよ」と言っていただけることがありました。
住民の皆さまの、ある意味バディー(相棒)的な役割になれたら、すごく嬉しいなと思います。
住民にとっては初めて来る街です。実証実験をやっている街ですが、まずは実証実験とあまり関係のないところから、生活の悩みや不安を何でも相談してもらえる関係を築く。心配事を解消できれば、実証にもどんどん参加してもらえます。そうなればテストコースの街としてのウーブン・シティの価値を実感してもらえると思います。
(実生活テストなどを通じて)真摯に向き合えば、ちゃんと心を開いてくれて、本音を話してくれる関係を築けるんだなっていうのは感じています。
岩田さんや成田さんのチームは、ウィーバーズが生活を始めた後、ウーブン・シティ内にある「ウィーバーズ・センター」の企画、運営も任されている。
ウーブン・シティの“公民館”
「実証実験にはどうやって参加すればいいの?」「どうやったら貢献できるのかな?」――。
「ウィーバーズ・センター」は、そんな住民らの不安の声を聞いたり、ウーブン・シティで安心して生活できるようサポートしたりする機能を持つ施設だ。

ここでは、困りごとがあればもちろん応えるが、ウィーバーズらがちょっと休憩したり談笑したり、時には子どもたちが宿題をしたり。気軽に交流できる“公民館”のような場所として活用してもらう。
楠さんが語っていたように、ウィーバーズはウーブン・シティに欠かすことのできない大切な存在。そんなウィーバーズが実証実験に進んで参加できるように、一歩目を後押しする場となることが期待されている。
ウィーバーズ・センターには、問い合わせや相談を受けるサポートデスクに加え、交流のきっかけとなるような情報掲示板なども設置される予定。
また、本記事の冒頭で楠さんや成田さん、岩田さんたちのチームを「応募から入居、そして退去にいたるまで、準備に汗を流している」と紹介したが、退去後もアルムナイ(卒業生、OB・OG)として街とのつながりをもってもらうことも、今後検討していく予定だそうだ。
いよいよ住民という“街の命”が吹き込まれようとしているウーブン・シティ。「どんな街になってほしいですか?」と問うと、成田さんはほほ笑みながら答えてくれた。
成田さん
ウィーバーズもインベンターも、ウーブン・シティが自分たちの場所だと思って、積極的に住みやすいように変えていってくれたら最高だなと思っています。
ウィーバーズとインベンターでどんどんモビリティをつくっていくんだという空気感ができれば、最高の共創の関係ができるんじゃないかなと。
自分たちの街だと思っていただけるような場所になれば嬉しいです。
