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2025.07.25
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砂漠で迷子?トヨタ社員がヨルダン・サウジで"冒険者"となる初ラリー

2025.07.25

女性の運転が制限されていた最後の国、サウジアラビア。美しい大自然の中で繰り広げられる女性専用のラリー「Rally Jameel」にGR社員が参戦!

2人のGR*社員がサウジアラビアの地に降り立った。GRモータースポーツ事業部の北原花恵と、GRマーケティング部の永薮里緒だ。

*トヨタのモータースポーツを統括する「GAZOO Racing Company」

普段はオフィスに出勤する彼女たちを、今回はあえて“選手”と呼ばせていただきたい。

砂漠を駆け抜けるラリードライバーとして…。

北原選手(左)、永薮選手

女性の運転を解禁した最後の国、サウジアラビアで、女性のエンパワーメントを高めるため発案されたRally Jameelに、ランドクルーザーGR SPORTで挑む!(Rally Jameelについてはこちらをチェック)

なぜ2人が参戦することになったのか? さかのぼること2025年1月…。

即答で「サウジ、行きましょう!」

GR Company部長会議にて、こんな話があがった。

「サウジアラビアのディストリビューター、アブドゥル・ラティフ・ジャミール・モータースの一部門、ジャミール・モータースポーツが主催する『Rally Jameel』に参戦しませんか?」

砂漠でのオフロード走行。「危ないのでは…」と心配の声があがる中、即答で「行きましょう!」と答えたのは、モリゾウこと豊田章男会長が部長を務める凄腕技能養成部の豊岡悟志部長代理だった。

凄腕技能養成部 豊岡部長代理

2年前、アブドゥル・ラティフ・ジャミール・サウジアラビアのハッサン・ジャミール副会長からRally Jameelへの想いを聞き、モータースポーツを通じて国を盛り上げる素晴らしい取り組みだと感じました。

また、サウジアラビアで70年にわたりトヨタを盛り上げていただいている分、自分たちもお返ししたいという想いもありました。

安全面は凄腕技能養成部がしっかりサポートするから自信があったし、なにより(北原選手、永薮選手にとって)いい経験になるはずだから絶対に参戦すべきだと思いました。

2人に白羽の矢を立てたGRモータースポーツ事業部の南山要一部長はこんな期待を寄せている。

GRモータースポーツ事業部 南山部長

WRC(世界ラリー選手権)活動を推進していくグループで、今年からグループマネージャーとしてチームメンバーの育成にも挑戦している北原さん。女性視点でクルマ好きを増やす活動やモータースポーツ普及に励み、素直でバイタリティのある永薮さん。

2人ならRally Jameelにも果敢にチャレンジしてくれる、業務に還元してくれるだろうという信頼があり、声をかけました。

ジャミール・モータースポーツが、モータースポーツを通じていろいろな人の夢を叶えるという想いで取り組んでいる活動。参戦することで得たものを、国内外におけるGRのモータースポーツ活動に活かし活躍してくれることを期待しています。

とはいえ北原選手も永薮選手もモータースポーツ経験はゼロ。2人のサポートとして、凄腕技能養成部の丸田智チーフエキスパートが同行することになった。今回使用するランドクルーザーの開発経験があり、社内運転資格はオンロード、オフロードともに保持。クルマを知るスペシャリストだ。

左から南山部長、北原選手、永薮選手、丸田チーフエキスパート

これを聞いた豊田会長は「モータースポーツにおいて女性がもっと参加しやすくなる取り組みを広げるのはすごく大事なこと。いってらっしゃい!」と送り出した。そしてトヨタイムズにも「女性記者が取材するのはどう?」とコメント。ということで、本記事は入社3年目の女性記者がお届けしております!

こうして結成したチームの名前は「TGR SAKURA JAPAN」!日本からは史上初の参戦。彼女たちに、レース直前の意気込みを聞いた。

永薮選手「レースだけでなく、いろいろな女性ドライバーとコミュニケーションをとったり助け合ったりすることも含めて楽しみたいです!

参戦するからには、表彰台に立てたら嬉しいです」

北原選手「永薮さんの勝ちたい気持ちに応えられるように、ペアとして頑張りたいです。何があるか分からないので気は抜かず、まずは完走を目標に、私たちが経験したことをトヨタのいろいろなメンバーに持って帰れればいいなと思っています」

「私にとってRally Jameelは“始まり”」

Rally Jameelは、スピードではなく、ルートを正確にたどるナビゲーション技術を競う、ナビゲーションラリー。配布されるロードブックや、方角、走行距離などを示すGPSシステムのみを頼りに、ドライバー・コドライバーがコミュニケーションをとりゴールを目指す。両者の入れ替わりは自由だ。

第4回となる今年は、世界37カ国から82人(41チーム)の女性が出場。参戦理由も多彩。

「普段は夫がドライバー、私がコドライバー。婚約はカリブ海のバルバドスラリー、結婚式はフィンランドの北極圏ラリーでしました!勝つことより、その国の文化や雰囲気を楽しんでいます。自分がドライバーとして参戦するのも、国境を越えるラリーも初めてなので、無事にゴールしたいです」(アイルランド出身)

「バーレーンでは数少ないラリー経験のある女性ドライバーとペアで参戦します!砂漠のオフロードで揺られながら、ゴールに向かって計算することが楽しみです!」(バーレーン出身)

「2回目の参戦です。今回は、ラリーに初めて挑戦するチームメイトをサポートするために来ました。私が知っていることを全部伝えて、楽しんでもらいたいです!」(スペイン出身)

サウジアラビア出身の女性参加者は、運転やRally Jameelについてどんな想いを抱いているのか。

初めて挑戦する親子に話を聞いた。

「運転が好きで、レースに出てみたいなと思っていました。そしたら娘がRally Jameelを見つけてくれて、母の日のプレゼントとして誘ってくれたんです。

2018年に女性の運転が解禁されたのは革命です。これから女性のさまざまな可能性が開かれていくと思いますし、その中の一員として運転できることが嬉しいです」

奥が娘、手前が母

また別の参加者は参戦理由をこう語る。

「Rally Jameelに参戦するのは2回目で、初めて参戦したときはサウジアラビアでの新しいチャレンジにワクワクして参戦しました。今回は、サウジアラビアを飛び出して国外からスタートすると聞き、この冒険にまた参戦しようと思いました」

彼女にとってRally Jameelはどんな存在か聞くと、力強いまなざしで「beginning」と答えた。

「『始まり』です。これからもいろいろな大会に参戦したいと思います」

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