ジャパンモビリティショー2025開幕! ブランドの新たな方向性を示したトヨタ。会場はどんなモビリティで彩られるのだろうか。各ブランド・展示に込めた想いを3回に分けて紹介する。
ジャパンモビリティショー(JMS)2025が10月29日、東京ビッグサイトで開幕した。
13日のトヨタイムズ生放送で、“センチュリー” “レクサス” “トヨタ” “ダイハツ” “GR”の5ブランドを再構築したトヨタは、GRを除く4ブランドがエリアを分けて出展*。
*GRに関しては、2026年の東京オートサロンに向けて準備が進められている。
東京ビッグサイトの西ホールを経由し、トヨタブランドのエリアである南ホールに向かうと、G型自動織機とトヨダAA型乗用車、トヨダG1型トラックが迎えてくれる。
いずれも「自分以外の誰かのために」発明された、トヨタの原点だ。
そこからダイハツ、トヨタ、レクサス、そしてセンチュリーと各ブランドの未来への挑戦を形にしたモビリティが並ぶ。
初日はプレスデーということで、多くのメディアが来場。トヨタエリアでは、各ブランドのコンセプトや展示に込めた想いを、佐藤恒治社長、サイモン・ハンフリーズChief Branding Officer(CBO)、豊田章男会長がリレー形式で語った。
そこで、トヨタイムズでは今日から3日間連続で、それぞれのスピーチと展示物のいくつかを紹介する。
初回は、佐藤社長によるトヨタとダイハツブランドのスピーチから。
あなた目掛けて
佐藤社長
皆さん、おはようございます!早朝からのご来場、ありがとうございます。“自称”トヨタグループ館へようこそ!
私が本日のトップバッターを務めさせていただきます。
ブースの入り口には、私たちの大切な原点を並べています。
乗用車への挑戦のルーツであるトヨダAA型。生活に欠かせないインフラ、商用車…そのルーツであるG1型トラック。そして、G型自動織機。
トヨタグループは、若き日の豊田佐吉が、苦労する母を見てつくった発明品、木製の機織り機から始まりました。改善に改善を重ね、やがて佐吉は、自動で動く機織り機、G型自動織機を発明します。
そこにあったのは、「誰かのために」という想い。それが、これまでも、そしてこれからも、私たちの挑戦の原点です。
まずは、こちらをご覧ください。
「TO YOU」という言葉にTOYOTAブランドの想いを載せました。私たちは以前から、「Mobility for All」の実現を目指して取り組んできました。
しかし、“モノづくり”の現場に立つと、心の中に“少しだけ”引っかかるものがありました。
それは、「For All」とは言うものの、「すべての人に向けた“最大公約数のモノづくり”なんかひとつもない」ということです。
私たちが何かをつくるときに思うことは、「誰かの助けになりたい」「誰かを笑顔にしたい」。必ず、誰かひとりの「あなた」の顔を思い浮かべて、そこを目掛けてつくっているのだと思います。
「あなた目掛けて」を続けていれば、いつの日か「Mobility for All」に近づいていける。そう考えてモノづくりをしているんだ、ということに気がつきました。
“みんなのためのクルマ”
さきほどのCM、最後に映っていたのはこちらのカローラです。
カローラは、「TO YOU」、誰かのためのクルマづくりの象徴であると思います。
時代に合わせて、人々の生活に合わせて、常に、目の前のあなたに向けて形を変えてきました。
見た目もボデータイプもさまざま。でも、そのすべてがカローラでした。
だからこそカローラは、“みんなのためのクルマ”なんです。
これからもそうあり続けるために、どう変わるべきか。
地球は大きくて、世界は広い。道も違えば、エネルギー事情も違います。
ただ、誰もが共通して持っているもの。それは「地球を大切に想う気持ち」です。そして、もうひとつ、“かっこいいクルマ”に乗りたい。こんな気持ちも、みんな一緒だと思います。
だから、バッテリーEVでも、プラグインでも、ハイブリッドでも、エンジン車でも。動力がなんであれ、みんなが乗りたくなるかっこいいクルマにしよう!
それを実現するための発明が、このクルマには詰まっています。
そして、こちらのIMV Origin。このクルマを企画する時に思い描いたYOUは、アフリカの農村に住む人々でした。
アフリカの「あなた」を目掛けて、2つのアイデアを盛り込みました。
ひとつ目は「未完成のまま工場を出荷する」ということ。
工場を出る時は、まだ“走るクルマ”として組み立てられていません。このクルマを組み立てて、完成させるのは現地の皆さん。アフリカに「組み立てる」という“新しい仕事”が生まれます。
もうひとつのアイデアは、「そこで組み立てても、まだ“この状態”」ということです。
このクルマに人を乗せるのか、荷物を載せるのか。載せる荷物は、箱なのか。そうでないのか。
私たちがつくるのは土台の部分まで、です。その先、使い方に合わせてクルマを完成させるのはお客様お一人お一人です。
完成状態までつくらないということに、クルマ屋としてのもどかしさもありました。しかし、それが“あなた”のためになる。暮らしや仕事のニーズは多様だからです。
「あえてつくりきらない」という、新たな発明に挑戦するクルマです。