ジャパンモビリティショー2025開幕! ブランドの新たな方向性を示したトヨタ。会場はどんなモビリティで彩られるのだろうか。各ブランド・展示に込めた想いを3回に分けて紹介する。
展示モビリティをちょっとだけ紹介
ここからはトヨタ、ダイハツエリアの展示アイテムの一部を見ていこう。まずはトヨタから。
〈カローラ〉
13日の生放送以降、CMでも流れていたので気になった方も多いのではないだろうか。
今回のコンセプトモデルは「マックスビジョン」「マックススペース」がキーワード。
エンジンルームはコンパクトに、インパネやキャラクターラインも低く設定、広い視界・室内空間を確保しようとしている。
現状はBEVからエンジン車まで、さまざまなパワートレーンを考えているという。
ただ小さなエンジンルームを見る限り、エンジンは昨年5月のマルチパスウェイワークショップでお披露目された⼩型・⾼効率・⾼出⼒のものを想定していそうだ。
特徴的なセンターコンソールには、カローラ初の香りの発生装置も備え、五感で楽しむことが考えられている。
1966年の初代から大衆車としての地位を確立してきたカローラ。60年目の進化を迎えようとしている。
〈IMV ORIGIN〉
前回のJMSで「0(ゼロ)」が展示されたIMV。タイをはじめ東南アジアに人気のピックアップだ。
そんなIMVが、今回はアフリカの人たちを想い企画された「ORIGIN」となって登場する。
まだ未舗装で荒れた道が残るアフリカの山間部などでは、四輪車は高価なため、二輪車で農作物などを運搬しているところもあるという。
「IMV ORIGIN」は、佐藤社長が語るように「組み立てる」という“新しい仕事”を生むとともに、二輪車と四輪車の間のステップになることが期待されている。
現地の人たちにとって大切なことは「たくさん運べること」と「自力で直せること」。荷台部分は運ぶものに合わせて拡張性を持たせ、現地で手に入りやすいパーツで構成できるように検討が進む。
〈KAYOIBAKO、「me」シリーズ、Kids mobi〉
商用車では、前回のJMSにもあったBEVの「KAYOIBAKO」が登場。今回は用途に応じたXL~Sまでの5タイプが展示される。中には自動運転を想定したタクシーも。
広々とした車内空間やフラットな床面はそのままに、乗降時にはスロープも自動で展開し、車いすの利用者も快適に利用できる。
こちらは一般公開日から乗車もできるそうなので、ぜひ体験してみてほしい。
「me」シリーズは障害の有無や年齢にかかわらず、誰でも楽しむことができるモビリティ。
ステージには異なる形の3種類が並ぶが…。こちらについては、後日トヨタイムズで詳しく紹介するのでお楽しみに。
このほか、子ども向けの自動運転モビリティ「Kids mobi」はAIを搭載し、文字通りクルマと会話できる。イメージは新しいランドセル。コロコロと変わる表情に、壇上の佐藤社長の表情もにっこり。
大衆車から商用、さらには子ども向けまで。さまざまな“あなた”目掛けて、トヨタの開発が進んでいる。
続いてはダイハツブランドから。
〈ミゼットX〉
三輪から四輪には変わったが、どことなく初代(後期型)の面影を残す「ミゼットX」。
展示されているモデルは、全長2,200㎜、全幅1,295㎜、全高1,680㎜。チャイルドシートを取り付けた「子ども乗せ自転車」と同じようなユースシーンを想定した軽BEVだ。
運転席の後部に、乳幼児ほどの小さな子どもが座れるシートを2つ並置した1+2シート。小さな子どもも乗り降りしやすいドアは前開き。
運転席からの視界や、後席の子どもとドライバーの距離感は、「子ども乗せ自転車」と変わらないような形で検討されている。
雨の日でも親子でお出かけしたり、ちょっと遠くの公園に遊びに行ったり――。そんな身近な移動を助けたいという想いが込められているという。
もちろんCMにあるように、農作物の運搬やサーフボードを積んで近くの海まで、なんて使い方も。
1957年、高度経済成長期の最中に生まれ、大きなクルマが入れない道を走り、商用/乗用で町の困りごとに応えてきた初代ミゼット。それから約70年。時代が変わっても、その発明精神は変わらない。
〈K-OPEN(コペン) ランニングプロト〉
エンジニア出身の佐藤社長が「とんでもないこと」と驚いた一台。FRにすることによって、より快適な「止まる・曲がる・走る」を可能にした。
スラントエンジン*を採用することで、低重心で高い操安性も狙う。コペンらしいオープンカーとしての楽しさに加え、走りの楽しさも一層追求した一台となっている。
*直列エンジンにおいて、シリンダーを斜めに取り付けたエンジン。エンジンルームを低くして視界を広くしたり、クルマの重心が低くなって高い安定性を得ることができる。
こうしたこだわりには、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの精神が反映されている。
今回は展示方法にも一工夫が。床面に鏡を貼ってシャシーを見ることができるようになっている。よく見ると、所々に泥が…。
このコペン、コンセプトモデルでありながら、すでに実走試験を行っているのだ。
そうなってくると、気になるのは発売時期だが…。そこは来場者の皆さんの反応を見たり、知見を集めながら、より良いものにしていくとのこと。
豊田会長がダイハツのマスタードライバーにも就任し、これからもっといいクルマへと鍛えられていくはずなので、楽しみに待ちたい。
次回はレクサス
今回紹介している展示品は、ごく一部。トヨタ以外の四輪メーカーや二輪メーカーも、さまざまなモビリティを出展しているので、ぜひ会場で実物を確かめていただきたい。
JMS2025は11月9日まで(一般公開日は10月31日から)。会期中は、10年後のモビリティや生活を感じられる「Tokyo Future Tour 2035」や専門家たちによるトークセッションも行われる。
そして明日のトヨタイムズは、ハンフリーズCBOによるレクサスブランドのスピーチと、レクサスエリアのモビリティを紹介する。こちらもお楽しみに。