ジャパンモビリティショー2025開幕! ブランドの新たな方向性を示したトヨタ。会場はどんなモビリティで彩られるのだろうか。各ブランド・展示に込めた想いを3回に分けて紹介する。
小さいクルマは大発明
「次に、こちらの映像をご覧ください」。そう言って、佐藤社長は一度ステージ袖へ。流れてきたのはダイハツの新CMだ。
再び登壇した佐藤社長。その様子はノリノリだ。
佐藤社長
このコマーシャル思わず口ずさんでしまいませんか?
私、実は舞台袖で、ちょっと口ずさんでいました。
(ステージ上、先ほどまでと比べて小さな声で)小さいからこそできること~♪ けっこう恥ずかしいです(笑)。
バックステージで、マイクがオフで、本当によかったと思います。
さて、小さいからこそできること…。日本の道を走っていると、「小さくて助かった~」と思うこと、けっこうあると思います。
CMで、最初に登場したクルマは1950年代のミゼットです。
「小さいクルマがあったら便利なのに」。そんな声を町で聞いて、「ほな、つくったろか!」。こういう想いで生まれた“大発明品”でした。
クルマを小さくつくることは、とっても難しいんです…。
クルマづくりをやってきたひとりとして、心からそう思います。
そんな挑戦を続けているのがダイハツです。
CMの最後に出てきたのは未来のミゼット。
ダイハツのクルマづくりは、昔も今も変わりません。
町に出て声を拾い、困っている人を見つけては、何ができるだろう? と考える…。
「小さくつくる技術」をどう活かせるか、頭をひねる。
そうしてたどり着いたのが「ミゼットX」というわけです。
そして…もう1台、ご紹介いたします。軽のオープン、「K-OPEN」です。
このK-OPEN、何がすごいのか? FR、後輪駆動なんです。
このすごさは、なかなか伝わらないかもしれませんが、こんな小さなボディでFRを実現するっていうのは、実は“とんでもない”ことなんです。
エンジンを低く置いて、ミッション、プロペラシャフトを配置して、ペダルのレイアウトを考えて、ステアリングがあって…。このすべてをボディに収める。
この話をすると少し長くなってしまうのですが、一言で言うと、開発者たちの知恵と工夫が詰まりまくっているんです。
先日、会長の豊田がダイハツのマスタードライバーになるというニュースがありました。コペンにもたくさん乗って、たくさん壊してくれるのだと思います。
ダイハツの皆さん!マスタードライバーとのクルマづくりは大変です。いや、本当に大変です…。覚悟しておいてください(笑)。
でもクルマ屋として、こんなに楽しいクルマづくりは、ほかにないと思います。
新しいコペンがどんなクルマになっていくのか? 私もとっても楽しみにしています。
「小さいからこそできる」トヨタにはできない大発明で、Mobility for Allを一緒に実現していきたいと思います。
挑戦の意味
そして、もうひとつ。こちらのTO YOUの広告には、「あなたが行けないなら、モビリティが会いにいく」と、そう書いてあります。
自分が乗って動くことだけがモビリティではありません。モビリティが“あなた”に近づいていく。何かを届ける。これも大きな役割です。
写真に写っているクルマは、こちらのKAYOIBAKO。段ボールにいろいろなサイズがあるように、KAYOIBAKOにもいくつかのサイズがあります。XLからSサイズまで、小さな箱はダイハツがつくり、大きな箱はトヨタがつくります。
冒頭、商用車のルーツであるG1型トラックをご紹介しましたが、当時は自動車産業への挑戦を始めたばかりのころで、納車後も、故障が相次ぎました。そのたびに、豊田喜一郎は、すぐさま現場へ駆けつけたと言います。
お客様第一の精神。それに加えて、喜一郎には、2つの想いがあったんじゃないかと思っています。
そのひとつは「そのクルマはどんな状況で壊れたのか」。自分の目で見て改善したいという「現地現物のエンジニア魂」。そしてもうひとつは「生活を止めてはいけない」。日本をもっと良くしたいという「国への思い」。
この想いをしっかり受け継いで、これからもトヨタは、商用車、「運ぶモビリティ」を大切に育てていきたいと思っています。
「Mobility for All」
「誰かのために」
「TO YOU」
「わたしにダイハツメイ」
こうした言葉は、私たちクルマ屋の創造力を掻き立てて、やる気にさせてくれます。こうした想いが、もっともっと多様なモビリティをカタチにしていく原動力になります。
例えば、こちらのboost me。こういうモノがあれば、足が不自由な人もそうでない人も一緒に、本気でスポーツができるんではないだろうか。そう考えた仲間はこんなモビリティを提案してくれました。
また、こちらのKids mobi。こういうモノがあれば、子どもたちの世界はもっと広がるんじゃないだろうか。そう考えた仲間は、子ども向けのモビリティをカタチにしてくれました。
誰かを想い、ひとりの“あなた”を見て、どうしたら喜んでもらえるだろう? と考える。
「あなたを目掛けて」
その一心で「いろんな」もっといいクルマをつくって、幸せを量産していきたいと思っています。
“発明”に成功することもあれば、うまくいかないこともあるかもしれません。
でも、難しいからこそ、やりがいがある。それが挑戦の意味だと思います。
世界中の「あなた」がつくる未来。その真ん中には、クルマがあって、たくさんの笑顔があってほしい。
そのために、クルマをもっと楽しくて、もっともっと愛される存在にしていきます。
「クルマの未来を変えていこう」
この想いを力に変えて、これからもトヨタグループのみんなで、発明に挑戦し続けていきたいと思います。
ありがとうございました!