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クルマと燃料オールジャパンで共挑 S耐富士24時間で発表された国産低炭素ガソリン

2025.06.13

燃料、自動車メーカーが、オールジャパン体制を組み、低炭素ガソリンを開発することがS耐富士24時間の場で発表された。各社は会見で、液体燃料を含めたマルチパスウェイの重要性を語った。

新燃料の克服すべき課題

質疑応答で移行期を乗り越える鍵について質問を受けたENEOSの藤山CTOは、CN燃料が世の中に認めてもらえるかが重要だと語る。

藤山CTO(ENEOS)
第一に、こういったCN燃料が世の中に認めてもらえるかが一番重要なのかなと思います。

ブラジルの例は、補助金等々でエタノールが安いわけですが、本来は高いであろうエタノールを入れることを、世の中の皆様は許容してくださるかどうか。

そこでお金を払ってでも「日本は地球の温暖化防止に協力しよう」という気持ちになっていただけるか。

これは補助金を出していただければいいという問題ではないと思っています。補助金は、結局は税金ですから、自分の懐を痛めても温暖化を防ぐことに協力しようと思っていただけるかどうかが、一番重要なところかなと思っています

中嶋副社長
どうやって、社会でCNに向けた費用を負担していくか。今、ガソリン自体も、さまざまな税金もかかっているという状況でもありますので、そのあたり、どのように公平性を担保しながら、CNに向かうのか。

もう一点は、当然、CNはこの燃料以外にも、さまざまな手段がありますが、どうしても、その目に見えるコストだけが出てしまいます。

例えば、BEVですと充電設備をどの程度用意しなきゃいけないか、インフラへの投資も含まれると思いますし、水素もそうだと思います。それぞれ新しい燃料は、克服しなきゃいけない課題がたくさんあると思います。

それはこういう取り組みを通じて「この指とまれ」を合言葉に思いを一緒にしていただいている業界の皆様と連携しながら、模索していくことが、非常に重要だと思っております。

いずれにしろ、最初はどうしても費用がかかるというのが事実だと思います。当然、自動車業界も燃料業界の皆さんも、それをわかったうえで、挑戦しています。

いかにこれを公平に分担していくのか、さらには税制をどうしていくのかということも、アプローチしていく必要があると考えております。

耐久レースで実証する意味

また、別の質問であえて過酷な富士24時間レースで投入する意義について聞かれると各社はこのように答えた。

藤山CTO(ENEOS)

燃料会社としては、レースの場というのが非常に華やかな人がたくさん集まる注目度の高いイベントだということがあります。

こういったところで、少しでも多くの皆さんに、CN燃料の存在を知っていただくことが、非常に大きなメリットだと考えております。

木賀専務(NISMO)
レースはとにかく全負荷、全開の性能で走るので、通常の何万キロにあたる負荷がかかります。

それを一気に短時間で見られるということは、非常に有益なデータになると思いますので、レースで使う意義があると思っています。

梅下CTO(マツダ)

耐久レースの場というのは、大変過酷な環境になります。一般の市場よりも遥かに厳しい環境になるので、その実験場として技術的な課題も、しっかりと理解して、それを克服することが、市場に展開するうえでも着実な一歩になると考えています。

藤貫CTO(SUBARU)
試験ではクライテリア(指標)が決まっているんですが、それがリアルワールド全ての使い方を網羅しているのかというと、その自信はないところもあります。

耐久レースで走らせてみると、思いも寄らない課題が出てきます。それはものすごく貴重な経験です。

もう一つが、レースで競争をしていることです。(この会見の場では)平静を装った顔をしていますが、勝った負けたで(喜んだり悔しがったり)、自分たちのペースではなく進めるということ。

あとは、いろいろな情報共有ができるので「クルマを鍛える」という意味では、レースはものすごくいい機会だと思います。

中嶋副社長(トヨタ)
一番重要なのはこれだけS耐というイベントに、たくさんの方がお越しいただき、興味を持っていただいていること。

こういうイベントをわざわざ開くとなると調整等が難しいと思います。でも、この(S耐の)場があるからこそ、ここをゴールにして、想いを一つにして、ご説明ができる。

その結果、CNということ自体に対して、一般の方々のご理解が深まり、どのように社会の課題として捉えていくのかというところにつながっていくものだと信じております。

S耐のST-Qで鍛えられるクルマに、新たに低炭素ガソリンも加わり、オールジャパンでCN社会の実現に向けた「共挑」が進められる。

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