
スーパー耐久シリーズ 第3戦 富士24時間。現在、国内唯一の24時間レースには、年に1度のモータースポーツのお祭りとして、レーサー、ファンにとどまらず、さまざまな仲間が集まる。この会場に集まった仲間を取材した。

S耐の草の根参加型レースへの原点回帰
『草の根の参加型レース』であり、幅広い層が参加できるスーパー耐久シリーズ(S耐)。
2025年5月30日から6月1日まで3日間にわたって行われたS耐第3戦、富士24時間で、スーパー耐久未来機構(STMO)による新たな仲間を募集するカテゴリー「S耐チャレンジ」が発表された。
新カテゴリーを設定する意義について、STMOの桑山晴美副理事長は会見で、このように説明した。
STMO 桑山晴美副理事長

ご存知の通り、モータースポーツ界も例外ではなく、現在参加者の高齢化が進んでいます。
次の世代にこの魅力ある世界をどうつないでいくか、今、大きな課題に直面していると感じています。
モータースポーツは誰もが心引かれるスポーツです。 一方でやってみたいけれど、ハードルが高いと感じている方が多いのも現実です。
費用の面はもちろん、クルマという道具を使うがゆえの技術的、準備的な難しさ。さらには最初の一歩をどこから踏み出していいのか分からない。実際にこうした声を私たちは耳にしてきました。
それでもなお、憧れのレースに出てみたい。 一度でいいから耐久レースを走ってみたい。そう願っている方は全国にたくさんいらっしゃると感じています。
だからこそ、できるだけコストを抑えながらも、しっかり本格的なレースの醍醐味を味わっていただける、そんな新しいステージを私たちはつくろうと決意いたしました。
「S耐チャレンジ」は、スーパー耐久シリーズの仲間、いわば弟分として位置づけていくカテゴリーです。
背景にはもう1つ大きな要因があります。 近年S耐は、ドライバーの技量、チームの体制が高度化し、シリーズとしてのレベルは大きく向上しています。
それ自体は非常に喜ばしいことですが、一方で挑戦してみたいと思ってくださる方にとっては、心理的、物理的なハードルが高くなってきているのも事実です。
そこで私たちは改めてS耐の原点に立ち返ろうと思いました。 誰もが最初の一歩を踏み出せるための入り口、それが「S耐チャレンジ」です。
参加資格は国内A級ライセンス保持者で、ドライバーは2名1組、ピットクルーも3名に限定される。車両はJAF (日本自動車連盟)のN0規定*に準じた車両で、ロールケージ、バケットシート、4点式シートベルトを備えていることが条件となる。
*N0とはJAFが定める国内レース競技車両の区分で、市販車をベースとし、車両の改造範囲が最も制限されるクラス
レースは60分のミニ耐久レース形式で行われる予定で、ドライバー交代1回が義務付けられる。
誰もが参加しやすい初心者向けのレースとして11月15日のS耐最終戦(第7戦 富士)で初開催を予定し、2026年にはクラスの拡大を検討している。