
異例の本部別で開催された第2回労使協議会を通じて問われた「当事者意識」。働き方やメンバーが多様化し、「人が仕事を選ぶ時代」に佐藤恒治 社長が語った"一律"の意味とは。
宮崎、中嶋両副社長の想い
ここまで各職場で行われた話し合いや、そこで浮上した全社課題を聞いていた宮崎洋一、中嶋裕樹 両副社長。労使双方に向けて強い危機感を訴えた。
宮崎副社長

1回目にこの場で話をさせていただいたことを、もう1回振り返らせていただくと、今我々が享受できている収益のレベルは、当たり前の状況ではありません。だから、これがずっと安定的に続くと思っていると足元をすくわれます。
これからもこの状態を維持するためには、一歩でも二歩でも先に行かなければならない。そのための環境整備、そのための足場固めを今やっています。
危機感を持って、具体的にどう行動に移していくかを2回目に各職場で話し合おうというのが、1回目の会話だったと思っています。
今聞いていると、近い会話をしていただいている職場もあると思う一方で、恵まれた状況にあるにもかかわらず、「報われない」「割に合わないからチャレンジができない」(という声もある)。
「そんなこと言っていたら足元をすくわれる」。
これが一番皆さんと共有したかったことだと思っています。
我々も背中を押すために、いろいろなことをします。限られた原資の中で頑張っている人がいるならば、評価の幅を広げて、配分で報いていくことは考えなければいけないと思っています。
ですが、皆さんから聞きたかったことは、「この当たり前の状況を持続していくために、危機感についてはわかった。だから、会社は自分たちが垣根を越えて働くための後押しをしてくれ」ではありません。
そうではなく「そんなもの(危機感)は、もうわかりました。自分たちでその垣根を越えて進めていくので、会社はこうしてくれ」という、本当はそういう会話をここで聞きたかった。そういうところに、もう一歩踏み込んでいかなければいけないと感じました。
2回目を職場でやってもらったときに、本当はこの労使協が1年間の総決算でなければいけないのに、「職場でやる」と言ったとたんに、後ろにいる皆さん(本部長・プレジデント・センター長)も、慌てて声を拾いに行ったと思います。
普段の労使の話し合いレベルで、今ここで話しているようなことが吸い上げきれていなかったという反省を、我々はしなければいけません。組合の皆さんもそうかもしれない。そうすればもう少しここの部分が一歩前に行けたのかなと思っています。
体裁にこだわって、芯を食った話し合いができていない、言いにくいことを言えていない。ですが当たり前じゃないという状況があって、危機感も感じているのであれば、言いにくいことは言わなきゃいけない。
中嶋副社長

1回目の議論にもありましたが、どう行動につなげるかがポイントです。
行動することの難しさは分かった。しかし、勇気を持って小さなことから、できることから、成果が出せるものからでもいいので、「行動を起こす」。その相対的な数が少なかったこと。私もプレジデント経験者として、棚に上げて言うのは申し訳ないですが、「行動を起こす」ことが少なかったのは問題だと思いました。
さまざまな職種の現場に行って、一番怖いなと思ったのが「人材育成が忙しくてできません」という声がたくさん聞こえたことです。
我々は先輩から熱心に人材育成していただいたおかげで今がある。種まきをしていただいたおかげで今、刈り取れています。
5年後、10年後のトヨタを考え、私たちが将来に向けてどう種まきをするのか、どう人材育成していくのかということの優先順位が下がってしまっている。
「目先の仕事が忙しいので人材育成ができない」ではなく、人材育成を一丁目一番地において、残りの時間を業務の時間にする。それでオーバーフローするなら、やめかえ*をする。
*仕事をやめる・変える活動。
最後に、トヨタの一番強みは「自分以外の誰かのために」という言葉だと思います。
今日、いろいろな話を聞いたり、自分で現場に行って感じるのは、相手に対する思いやりが少なくなりつつある。それがコミュニケーションの途絶にもつながっているのかもしれません。
「自分以外の誰かのために」というトヨタ共通の理念を労使ともにしっかり持って会話を継続していけば、相手が何を考えているのか、自分はそのために何をすればいいのか、につながっていくと思いました。
両副社長の想いを、光田聡志 書記長、江下圭祐 副委員長が受け止めた。