
労使協議会から約4カ月。競争力強化へ職場の取り組みが進む中、見えてきた壁。さらに正味率を上げていくために労使が話し合った。
がむしゃらにバッターボックスに立つ状態
佐藤社長

労使協議会で議論された「仕事の正味率を上げていこう」ということを各職場で実践いただいている中で、今ぶつかっている壁、感じている課題を率直に意見交換させていただいたと思います。
我々はコロナ禍、あるいは認証問題にぶつかった時、危機を乗り越えるため労使一丸となって会社のオペレーションを支えてきたと思います。
本当に苦しい時に頑張っていただいた組合の皆さんに、改めて心からお礼を申し上げたいと思いますし、その頑張りがあるからこそ今があると思います。
一方で、我々はオペレーションに振り切ってしまったとも思います。例えるなら、とにかく全員がバッターボックスに立つんだということで、実際に皆がバッターボックスに立ってくれた。だからこそ、苦しい時期をある程度乗り越えることができた。
ただ、オペレーションに振り切っているから、「自分はバッターボックスにどんな姿勢で立っているのか?」「自分のフォームはどうなんだ?」あるいは「相手のピッチャーの傾向は?」「調子はどうだ?打順は?点差は?天気はどうだ?」ということを考える余力を失い、ただがむしゃらにバッターボックスに立つ状態になってしまった。
それではゲームに勝てない。だから足場固めをしようということなんです。
足場固めはスローダウンではない。戦いに勝つため、自分たちを見つめ直し、何が足りないのか、どうすれば試合に勝てるかを考え、実践していくための場づくりなんだと、改めて今日の話し合いをもとに、労使全員でその想いを再確認させていただきたいです。
我々は生き残りをかけた戦いのど真ん中にいる。どの会社も、どの競合も、頑張っているんです。その中で生き残っていくため、戦いに勝つための努力が今必要です。
それを一人ひとり見つめ直し、自分たちの仕事の正味率を実際に上げていかなければ、足場を固めている意味がない。その厳しい認識を、労使ともに改めて持つべきだと思います。その認識に立ったうえで、今日の議論を踏まえて会社側の宿題だと思ったことを3つ申し上げます。
3つの宿題
1つ目は、労使協議の継続案件でもある人事評価。それぞれの頑張りに報いる人事評価の案がありますが、「これを本気でやりますが、組合は本当にそれでいいですね?」と改めて問いたい。
今提案されている評価制度には、本当に組合の想いが表現されていますね?
ある程度、予定調和的に、「何かが今より変わればいい」とまとめてしまったら、このチャンスが生かされない。これ(人事評価)は本気でやると言っているので、本気で継続的にやっていく必要がある。

2つ目は、幹部職や本部長、執行のコミュニケーションや権限委譲が本当に今のままでいいのかという問題提起です。
これについては、自分も危機感を持っているところがあります。自分たちは「いいよ。決めていいよ」と言っているかもしれないが、実際に現場で決められていないのだとすると、そこには見えない壁や、変えなければいけない何かが存在している。
その理解を持って取り組んでいく必要があると、会社側の宿題として受け止めました。
3つ目は、製技の本来の役割をしっかり果たせるようにするための対応を、会社として考えないといけない。
この3つを今日の話し合いの宿題として持ち帰り、また相談させてほしいと思います。
会社としてもですが、自分自身も今日の話し合いを聞いて、率先してやらなくてはいけないと思ったことが2つあるので、最後にそれを話して終わります。